No.182 覚悟

 今、自分は電車での支援をやっていませんが、ちょっと前にヘルパーさんに聞いた話。

電車に乗ってる最中に、足をドンドンして大きな音を立てたり、襟を噛んだりする子が居まして

それをやったらいけないと教える為に、その都度注意していたけど、それでもおさまらない場合は

最終的に、次の駅で電車を降ろす事をしていました。

降ろされるのは嫌がっていたけど、しっかり理解できていないのか、次回、その次と改善が見られない。

そこで、ある日 足をドンドンとした時に、電車を降りる。 そこまでは一緒だったが

改札も出て、パスとか財布とかをリュックにしまう。 あれ?どうなってるの?

電車に乗れないなら歩くよーと、どんどん歩いて行く。すると、信号待ちで追いついてきて、

手を握ってきて反省してる様子。

ちゃんと出来るの?と聞いて、ひと駅分歩いてから電車に乗りましたが

本当にちゃんと出来て、まるで別人のようだったと。

この話を聞いて、「覚悟」を決めたのが大きいよね、とIさんとも話してました。

そこまでやるには、自分が大変になる事も覚悟しなければならない。

どこの駅で降りる事になるかもわからないから道も調べられてないですしね。

真剣な気持ちだからこそ、その子にも伝わる。

放っといたら、何も起こらないけど子どもたちの成長も期待出来ない。

放っとくと現状維持じゃなくて、どんどん悪い方向に行くんですよね。

自閉症の特性をわかってない人達がほとんどで、悪くしといて、学校も児童デイも卒業。

 車で移動してる子達は、公園や買い物に行く時は、外との大事な接点。

周りの人に迷惑をかけない事を覚えたり、我慢する事も覚える。

以前、おやつを複数買いたがる子が居て、ひとつにするとギャーギャー泣き喚いていましたが

今では、わざと「ふたつ買おうか?」とふざけて言うと、ダメ!ひとつ!と、たしなめてくれます。

おやつを買うのが目的になり過ぎて、自分の欲しい物を取るまでは、まっしぐらになってしまう子も多いです。

そういう時は、店内を走らないようにしたり、色々な商品を見る余裕を持ってもらったり

落ち着いて行動出来る事を覚えます。

そんないつもと同じ練習をしていた先日、コンビニ内でどんどん進もうとするT君。

それを止めに入ると、止められた事も気に入らずに怒った時にする舌噛み。

舌を噛んだら次に進めない事を練習してるので、「口、やらない」と指さししたりしてると

店員が、間に入ってきて、虐待だと言い出しました。

殴りましたよね? 通報します。 彼、怯えてますよ。などなど。

自分は、そんな酷い事した覚えはないのですが、すごい勢い。

怯えてるんじゃなくて、目的達成の為に必死になってたのや怒ってた顔だと言っても

自分にも障害児が居るからわかる、子どもの表情を見ればわかると。

前に、Iさんが参加した会議でも、顔を見れば何考えてるかわかると言った人が居ましたね。

なんで、この世界は、ちょっと障害児に関わっただけで、わかったと思っちゃうのか。

T君にしてみれば、買物しか頭にないから、もう大丈夫、僕、舌噛まないよと示す。

なので、店員さんを置いといて、支援を優先して買物を済ませました。終わって落ち着いてる彼。

もし、その店員さんの不用意な声掛けで、買物を終えてなかったら・・・・

もし、言われて僕が放棄してたら、その店員さんは無事では済まなかったかと思います。

T君とは、20年もの付き合いで、支援者として一番信頼してくれてると思っています。

怯えさせての付き合いだったら、こんなに今伸びてないと思うんだけどなぁ。

今年に入って、彼は発語しかけてます。

自傷したり、喚いたりする時は、声を出すのですが、「あ」と言って!と言うと

口の形は真似るものの、全く声を出してくれませんでした。

それが、ヘルパーみんなが事ある毎にやってくれると、ある時、「あ」と声を出したのです。

感動です。 

その後、「こんにち」と言った後に、「あ」と出してもらう。

それも、時間がかかりましたが、漸く言えるようになってきて、今では違う音も練習中。

ヘルパーのみんなからも、今一番の伸びと言われてるとこです。

その矢先に、虐待騒ぎとは非常に残念。

だから、他の福祉施設では、お子さんの体に触れる事もご法度として放っているのか?と。

教える事を放棄する風潮になり、何か事件があったら、その子が勝手にやったんですと こどものせいにする。

教えてない僕らがいけないのに。

以前、ぽぽろで働いていた方の中に、他の施設でお子さんに髪を掴まれ振り回されても

誰も助けてくれなかった事を嘆いていた人がいました。

ぽぽろのヘルパーもみんな、大なり小なりの怪我を負った事があります。

支援者を守る事も必要だと思うのですが。 なり手が居なくなっちゃいます。

 そして、先日、通報を受けた横浜市から電話での聞き取りがありました。

毎日、嫌な気持ちで過ごしていますが、まだ、聞き取りがあるそうです。

自分は、間違った事をしてるつもりはないので、何かを正すって事になれば

福祉とはさよならする覚悟でいます。

上っ面の福祉ではなく、心の通った障害者支援をしたいと思ってきましたが、それが通じないなら、

また通報されると思います。子どもたちの役に立ちたいなど、同じ事を考えてるのに、

どうして福祉は足の引っ張り合いをするのでしょうか?

今、開催してるラグビーのワールドカップ。

試合中は、体のぶつかり合いがすごく圧倒されます。

時には、取っ組み合いの喧嘩にまで発展しますが、試合が終わったらノーサイド。

危険なタックルで怪我させた選手が謝りに行くと、わざとやったんじゃないから気にしてないと。

試合に真摯に取り組み相手を圧倒しようとするも、敬意はちゃんと払ってる。

相手の事を知らないとしても、このピッチに立ってる以上敬意が必要ってわかってる。

台風19号の影響で、試合が中止になったカナダの選手達。

釜石市で、復興支援のボランティアに参加しました。

「ラグビーより大切な事がある。僕たちに出来る事で役に立ちたいのです。」

もう泣けます。

対戦相手の予定だったナミビアの選手達も、予定外のファン交流をしてみんなを勇気づけ

お互い、初勝利を目指す試合が中止になった後の行動。

ラグビー選手の方が、福祉をわかってる気がします。

こうありたいものです。

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